山形の名刹といえば、松尾芭蕉の俳句『すずしさや/岩に染み入る/蝉の声』でおなじみの立石寺山寺が有名です。
ですが山形には開山1100年以上の古刹が立石寺山寺を含めて三寺あり、あわせて出羽名刹三寺と称されているようです。
今回、この出羽名刹三寺の中でも『若返り』の御利益があるという、山形県寒河江市の本山慈恩寺を訪問してきました。
訪問日:令和6年5月2日、再訪 令和7年6月1日
本山慈恩寺の基本情報
慈恩寺概要
名称:瑞宝山 本山慈恩寺
(ずいほうざん ほんざんじおんじ)
宗派:慈恩宗(法相宗の一派)
慈恩宗の本山
創建:神亀元年(724)僧行基が
聖武天皇に奏上。
天平18年(746)聖武天皇
の勅命で婆羅門僧正の菩提僊那
が開山。
本尊:弥勒菩薩
御利益:若返り
概要:(wikipediaより抜粋)
奈良時代の創建。
平安時代は藤原摂関家、鎌倉~室町時代は寒河江大江氏の庇護を受ける。
以降は最上氏や江戸幕府に寺領を認められた、東北随一の御朱印地を有した大寺院。
修験による祈祷寺として御朱印地を拝領していたため檀家を持たない。
本堂は国の重要文化財に指定されており、本堂を含め国指定文化財が32個と東北随一。
場所/参拝時間
住所 :〒990-0511 山形県寒河江市
慈恩寺地籍31
駐車場 :第一駐車場40台
第二駐車場38台
慈恩寺テラス駐車場 40台
参拝時間:8:30~16:00
定休日 :年中無休
拝観料 :大人¥700
本堂や薬師堂に上がり仏像を拝観する場合に拝観料を納めます。
若返りの鉢を体験するには本堂に上がる必要があります。
お堂の前での参拝や、境内散策だけなら拝観料は不要のようです。
アクセス
山形市・天童市方面から
国道112号を月山に向かって西に進み、途中チェリーランドを過ぎて国道287号とのジャンクションから右折し国道287号に入ります。
ジャンクションの陸橋の奥で右折します。
手前レーンはジャンクション出口で進入禁止なので間違って入らないように!

国道287号に入ったら、東根市・河北町に向かって少し進み、途中の案内板から北に進む脇道に入り、北に少し進んだところにある慈恩寺テラスを目指します。

山形空港・東根市方面から
山形空港側からは、国道287号を月山に向かって西に進み、案内板から北に進む同じ脇道に入り慈恩寺テラスに向かいます。
お勧めの交通手段
慈恩寺は、駅などの寒河江市の中心部から少し離れた小高い山の中腹にあります。
慈恩寺の近くにバス停はありますが、観光に使える利便性はなく、交通手段は基本的に車になります。
主要施設からの距離と所要時間
- 山形空港から
11.0km、車で22分 - 天童駅から
16.8km、車で29分 - 寒河江駅から
8.2km、車で18分 - 寒河江インターチェンジから
10.1km、車で17分
レンタカー
レンタカーは山形空港や、山形駅・天童駅にあります。
寒河江市にもありますが、駅から少し遠いようです。
どこでも1日¥6,000程度で借りれるようです。
タクシー
山形県の村山地方の観光地は比較的近距離に固まっているのでタクシーでの移動も容易です。
寒河江市だけでの観光ならば、『寒河江観光ワンコインタクシー』を寒河江市で実施しています。
これは寒河江市の主要観光施設間の移動を¥500で利用できる施策のようです。
ただし、市の予算が無くなり次第終了のようなので利用時は要確認です。
駐車場の詳細
慈恩寺には駐車場が3ヶ所あります。
第一駐車場
山腹の慈恩寺本堂の近くにあります。
(40台駐車可)

ここを利用すれば、急な仁王坂や山門前の石段を登らなくとも参拝ができますので、歩くのが困難な方は、こちらの駐車場の利用をお勧めします。
ただし第一駐車場は山の中腹にあるので、アクセス道から最初に辿り着く慈恩寺テラスからは、結構大回りして行く必要があります。
正しいルート以外は狭い急斜面の生活道路になります。
くれぐれも正しいルートから外れないように注意して下さい。

第二駐車場と慈恩寺テラス駐車場
アクセス道から最初に辿り着く慈恩寺テラスに近い駐車場です。
慈恩寺テラス駐車場(40台駐車可)は慈恩寺テラスの敷地内にあり、第二駐車場(38台駐車可)は慈恩寺テラスの西隣にあります。
どちらの駐車場の山裾にあるので、慈恩寺に参詣するには仁王坂と山門前の石段を登る必要があります。
参拝の見所
慈恩寺は、建物ひとつを指しているのではなく、本堂をはじめとした建物群と敷地全体を合わせて慈恩寺と言うようです。
慈恩寺旧境内一帯は東京ドーム約10個分の広さで、国史跡に指定されています。
江戸時代には3カ院48坊もの建物があったようで、現在も3カ院17坊が残っているとか。
東北の田園の中に驚くほどの文化が残っている事に驚かされます。
慈恩寺テラス
アクセス道から最初に辿り着くのが慈恩寺テラスです。
ここは、令和3年(2021年)に出来たばかりの『慈恩寺旧境内ガイダンス交流拠点施設』で、常設展示室/シアタールームと、食事コーナー(寺そば・寺カフェ)と物販コーナーがあります。
展示施設の充実度は圧巻です。
建物の規模こそ大きくはありませんが、まるで『NHKの4K放送のように美しく配色された壁面展示』や、『4m×4mの慈恩寺境内巨大立体ジオラマに投影されるプロジェクションマッピング』、『4K大型ラウンドシアター』と、驚くほどの充実度です。
これらの展示での歴史の説明も素晴らしく、京から遠く離れた東北に、藤原氏や平氏などとの繋がりがあったことが分かり、感動を覚えました。
慈恩寺を参詣する前に、是非ここで基礎知識を得ることをお勧めします。



音響も素晴らしい
慈恩寺テラスの北側に慈恩寺があります。
慈恩寺テラスの飲食コーナーから、食事をしながら山上に向かう仁王坂を眺める事ができます。



肉そばとミニげそ天丼と冷ややっこの、寺そばセット
仁王坂
テラスから歩いて参詣する場合は、はじめに仁王坂を登ります。
急斜面をつづらおりで登ります。

途中にテラスから見えた展望台があり、綺麗な田園風景が眼下に広がります。


山門と鐘楼
仁王坂を抜けると山門に向かう石段を登ります。
石段は若干急ですが、それほど長くはありません。
下から仰ぎ見る山門はとても重厚で、期待が膨らみます。
山門では、密迹金剛と那羅延金剛の2体の仁王が守護しています。




山門に向かって左手に鐘楼があります。
鐘楼には、『世の中の平和を願って一回、先祖への感謝を込めて一回、自分の願いを込めて一回、鐘をならします。』とありました。
心に響く良い鐘の音でした。

常設ではないとおもいますが、訪問した時は、神楽の舞台が山門と本堂の間に設置されていました。
本堂
山門を潜って石段を登ると本堂があります。
令和6年の訪問時には70年ぶりの『茅葺き屋根全面改修工事』が行われており、覆いで本堂全景が拝めなかったのですが、令和7年の再訪時には、茅葺き屋根がとても立派に蘇ってました。


本堂屋根修復記念で、御本尊『弥勒五尊』御本尊御開帳が開催されています。
春季:令和7年5/17~7/21
秋季:令和7年9/13~11/24
大変有難く美しい五尊を拝観できるチャンス。
感動モノです。是非拝観することをお勧めします!
公式 『弥勒五尊』御本尊御開帳
若返り祈願
本堂にある大きな鉄鉢に頭を突っ込んで、笑顔で祈願すると、願いが叶うとか。
若返りに、ボケ防止に、記憶力強化とか。
当然、家族全員で体験してきました。
御利益が楽しみです。
若返り祈願 鋳鉄仏餉鉢(県指定文化財)
本堂宮殿前に置かれるこの鉢は、慶弔11年(1606)に谷地の鋳物師によって作られた。細部の装飾や全体のバランスの良さから、その技術力の高さがうかがえる。
この鉢に頭を入れるとボケ防止、若返ると言われている。
拝観のご案内|慈恩寺公式サイト
三重塔
本堂から左手方向に少し降って行くと三重塔があります。
歴史が刻まれた落ち着いた三重塔です。
令和6年の訪問時には、特別拝観で三重塔の内部に納められた大日如来を拝観することが出来ました。

修行の道
本堂の左側には釈迦堂と天台智者大師堂があり、その裏に山上の白山堂に向かう石段が伸びていました。
本来修験修行が行われた所だったようですが、現在は見晴らしの良い展望公園が整備されているようです(山王台公園・八千代公園)。
少し登ってみたのですが、訪問時は他の参拝者が少なく、他に登る人は無し。
アクシデントが怖いので引き返しました。
きっと素晴らしい眺めが拝めると思うのですが、やむなし。

華蔵院(延命子安地蔵尊)
本堂から右手(第一駐車場方向)に向かって進むと、薬師堂と阿弥陀堂があり、その先に華蔵院があります。
華蔵院の境内には延命子安地蔵尊があります。
『子ども授かり』『安全な子育』の御利益があるありがたい地蔵菩薩として参拝者が遠くから訪れるようです。


華蔵院の境内には秋に 彼岸花(曼殊沙華)が咲くようです。
是非秋にも参詣したものです。
寅さんの腰掛石
こんなのもありました。
寅さんが映画の撮影で慈恩寺に来た時にここに腰掛け、しばらく景色に見とれたとか。
どんな景色か?確かめてみたくないですか?

まとめ
山寺には何度も参詣したことがありましたが、『慈恩寺はどうも古いお寺らしい』との認識だけで、東北随一の歴史のある寺院とは知りませんでした。
大切に守られてきた素晴らしい歴史がありました。
これからも長く守って行けるように、是非参詣されることをお勧めします。