山形には 出羽名刹三寺 と称される寺院があります。
これら全て 開山1000年以上の古刹 で、『悪縁切りの山寺立石寺』、『若返りの本山慈恩寺』、『縁結びの若松寺』の三寺です。
その中でも 山寺立石寺 は、松尾芭蕉の俳句『閑さや 岩にしみ入る 蝉の声』で全国区の知名度があります。
今回は新緑が美しい5月末に、山寺駅前から山寺山頂の奥の院まで参詣してきました。
訪問日:令和6年5月24日
山寺立石寺の基本情報
立石寺概要
名称:宝珠山 立石寺
(ほうじゅさん りっしゃくじ)
宗派:天台宗
創建:貞観2年(860年)
慈覚大師円仁が開山
本尊:薬師如来
御利益:厄除け/健康祈願/悪縁切
立石寺 概要:(公式サイトより抜粋)
本山延暦寺より伝教大師最澄が灯された 不滅の法灯 を分けられ、開祖慈覚大師が伝えた四年を一区切りとした不断の写経行を護る寺院。
元禄二年(1689)には俳聖松尾芭蕉が奥の細道の紀行の際この地を訪れ、「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」の名句を残した。
現在でも根本中堂をはじめとした大小30余りの堂塔があり、約百町歩(33万坪)の境内を持つ、東北を代表する霊山。
悪縁切りの御利益
山寺は昔から悪縁切りの寺として信仰を集めていたようです。
明確な由来は分かりませんが、以下のような説があるようです。
- 麓の根本中堂に安置されている薬師如来の御利益
薬師如来は諸所の悪い事から人々を守って下さり、悪縁も断ち切って下さるとか。 - 石段の途中の姥堂で俗世とのしがらみが断ち切られる
姥堂は、ここを境に下は地獄/先が極楽という浄土口にあたる場所らしく、
このお堂を過ぎることで、悪縁も断ち切られるとか。 - 最奥にある奥の院に参拝すると悪縁切の御利益がある
1015段の長い石段を、一段一段登るごとに少しずつ煩悩が消滅し、浄化されるとか。
実際に山寺を登ってみると、なかなかに荘厳で、なにか全てに納得してしまいました。
場所/参拝時間/行き方 等
住所 :〒999-3301 山形県山形市
山寺4456-1
駐車場 :山寺駐車場 500台(有料)
他にも有料駐車場多数
参拝時間:山門入山受付け
8:00~16:00
(12~3月は 8:00~15:00)
定休日 :年中無休
入山料 :大人¥300
山寺立石寺に車で行く場合は、国道13号線沿いの山形市と天童市から、いずれも良く整備された複数のアクセス道を東方向の山に向かいます。
山寺にはタクシー/レンタカーで行くのも容易です。
電車で行く場合は JR仙山線 を使い、山寺駅 が最寄り駅になります。
山寺駅から立石寺山寺登山口までは 450m(徒歩6分)です。
主要施設からの距離と所要時間(車)
各施設から山寺駐車場まで
- 山形空港から
14.6km、27分 - 山形駅から
8.8km、18分 - 天童駅から
14.2km、32分 - 東北中央自動車道 天童ICから
10.4km、24分
駐車場の詳細
山寺駐車場(河川敷の大駐車場)
山寺エリア手前のゆるい大きなカーブの右側に、河川敷に造られた大きな山寺駐車場(1日¥500)があります。
ここは500台駐車できる、山寺の付近で一番大きい駐車場です。
ここから山寺登り口までは 700m(徒歩9分)離れています。
この先にも駐車場はありますが、連休の混雑時などに、山寺の狭い道で渋滞に巻き込まれるのを避けるには、ここに駐車するのが良いかもしれません。
山寺駅側の駐車場
山寺駅は山寺からみて立谷川の対岸にあり、山寺駅周辺 や 県道19号と県道62号の交差点付近 に複数の駐車場があります。
この辺りは山寺から少し離れた真正面にあたるので、山寺の全景が眺められ、素晴らしい撮影ポイントにもなります。
ここから門前町までにも、飲食店や土産物屋、国登録有形文化財の旧山寺ホテルなど、見所が豊富で気分が盛り上がること請け合いです。
立谷川にかかる赤い橋を渡って山寺に向かう景色は、眺めが良くとても晴れやかです。
こちら側の駐車場は、駐車台数が30台程度の小さい駐車場で、料金はどこも ¥500程度 です。
また山寺の多くの 飲食店 や 土産物店 では、一定の利用金額(¥1,000以上利用など)を満たせば、『店の駐車場を無料で利用できるサービス』を行っています。
私のお気に入りは駅前の『山形蕎麦の焔藏』さんで、今回もここで腹ごしらえし、駐車場をお借りしました。
門前町の駐車場
門前町(対面石から山寺登山口までの表参道)にも、複数の小規模駐車場があります。
駐車料金は¥500程度でどこも大差ありません。
山寺駅側の店と同じく、門前町の飲食店・土産物店でも利用者に駐車場の無料サービスを提供しています。
こちらの駐車場は山寺登山口に近く楽なのですが、門前町の道路は狭く参拝客も脇を歩くので、連休などの混雑時にはお勧めし難いです。
いざ参詣
その前に食べ歩き
せっかく来たので、山寺名物をちょっとだけ食べ歩き。
『お休処 対面石』の 芭蕉焼きだんご
立谷川にかかる赤い橋を渡り、登山口側には向かわず反対側の対面石に向かいます。
何故なら、対面石 脇の『お休処 対面石』にお気に入りの名物『芭蕉焼だんご』があるからです。
わたしのお勧めは絶対に ごまみそ!
甘じょっぱい、もちもちの焼いたぼた餅!超美味しい!
店内でも食べれますが、私は対面石の横のテラスで食べるのが好き。
祠の後ろの対面石に 左手 をあててお祈りすると、良い事に対面できるとか。
『ふもとや本店』の さくらんぼソフトクリーム
今度はちゃんと山寺登山口に向かうぞ!と思いましたがちょっとSTOP。
なんじゃこりゃー!
マツコさん大絶賛のソフトクリームだとー!
という事で頂きました。
さすがマツコさん。
期待を裏切らない、さくらんぼの味を殺さない絶妙な甘さ。完璧です。
山寺登山口に向かって進むと左手にあるお店です。
山寺登山口
参道の終点に山寺登山口があります。
ここの階段もかなりなものですが、ここは1015段の石段には入らないんですよね。
気が引き締まります。
根本中堂
山寺登山口の階段を登ると、いきなり立石寺全体の本堂である 根本中堂 が出現します。
ここには比叡山延暦寺から分けられた『不滅の法灯』と、立石寺の御本尊『薬師如来』が祀られており、正面の左右には大きな 金剛界曼荼羅 と 胎蔵界曼荼羅 が掛けられていました。
薬師如来は、病気や厄災から人々を守って下さるありがたい如来さまとのこと。
ついさっきまでグルメだ云々とフワフワしていたので、いきなり大御所に出てこられても心の準備が間に合いません。
もっと真剣にお参りすればよかった。
日枝神社
根本中堂を山門に進むと、日枝神社が現れます。
ここは山寺の総鎮守の神社です。
日枝神社の”日枝”は”比叡”から来ており、天台宗の寺院にはセットで祀られる事が多いとか。
日枝神社には、長寿の霊験ありと伝えられる『亀の甲石』があり、『小銭に名前を書いて供え置けば願いが叶う』と言われているとか。
沢山の小銭が供えられていました。
芭蕉像/門前カフェ/念仏堂/鐘楼
さらに進むと松尾芭蕉と門人曽良の等身大の像がありました。
その先には、左手に門前カフェ、右手に念仏堂と鐘楼があります。
ころり往生。そうなりたいものです。
ちょっとまった! 門前カフェ だと!
またグルメが登場です。はい『山寺名物力こんにゃく』頂きました。
いよいよ山門!
ここまでも見所満載でしたが、いよいよ山門を潜って御山に登ります。
往復1時間30分の修行の始まりです。
姥堂
ここが地獄と極楽の境目の浄土口です。
堂内にはちょっと怖い顔の奪衣婆が鎮座していました。
悪縁切のパワースポットの一つ。
百丈岩と四寸道
姥堂を後に登っていくと道が狭く最小幅15cmの四寸道に至ります。
四寸道の左側には、上方に五大堂・納経堂・開山堂が建つ百丈岩がそびえています。
せみ塚と弥陀洞
せみ塚は、松尾芭蕉が例の俳句の着想を得たと思われる場所に、句をしたためた短冊を埋めた塚だそうです。
たしかに岩にしみ入りそうな場所でした。
弥陀とは阿弥陀如来のことで、ながい歳月で風雨が岩をけずり、1尺6寸(4.8m)の阿弥陀如来の姿を現したとか。
如来のお姿を見る事ができた人には幸福がおとずれると言います。
はい。なんとなく見えました。
仁王門と修行の岩場
山上を守るように仁王門が道を塞ぎます。
左右に安置された仁王像は、邪心を持つ人がくぐらないように、にらみをきかせています。
仁王門の右手に見える崖は、かつて修行で使われたとか。
開山堂・納経堂・五大堂
邪心がないので無事仁王門をくぐり、奥の院に向かう前に左に曲がり、五大堂を目指します。
途中に開祖 慈覚大師 円仁を祀る開山堂と、写経を収める納経堂が現れます。
納経堂には、『四年一区切りの不断の写経行』で写経したお経が納められています。
そして山寺で一番の眺望が拝める五大堂からの風景です。
結構高所で怖いはずなのに、素晴らしい景色ばかりで麻痺したのか、全然怖くありませんでした。
そして奥の院へ
いよいよ奥の院へ向かいます。
奥の院の手前には、山上なのに驚くほど多くの御坊が建っています。
そう、まるで『天空の城 ラピュタ』『空中都市 マチュピチュ』です。
動物の毛を用いない、石墨草筆の写経道場です。
そして奥の院。
わたしはやり遂げました!
まとめ
1015段の石段を登ったことで、わたしもきっと浄化されたはず。
こんな山の上にこんなに素晴らしい聖域を造るとは、自然も素晴らしいですが、人間の神仏に対する想いはものすごいです。